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「それじゃあ、お母さんと約束してくれる?」 |
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母親の再婚。
それが兄と妹の出逢いだった。
両親の他界。
それが兄と妹の『はじまり』だった。
義父の連れ子であった優香は、泣き虫で人見知りをする女の子。
守ってあげなければいけなかった。
両親がいなくても、普通の女の子としての幸せを。
他の家の子供に生まれてくればよかったなんて、妹に思わせないためにも。
両親の再婚が、まちがいだったなんて言わせないためにも……。
だから、兄は妹を大切に育てた。
彼女が帰ってくれば、必ず「おかえり」と笑顔で出迎えた。
幼い頃から妹の兄として、親代わりとして生きてきた岩崎達也。
なのに、妹の優香は……。
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「別に、迎えにこなくたってよかったのに…」 |
思春期を迎えた頃から素行が悪くなり、彼女を警察まで迎えに行くことは兄の役目だった。
何歳になっても、妹のことが心配な達也。それに嫌悪感を示す優香。
幼い頃、彼らを義理の兄妹として結びつけていた両親は既になく、
だからこそ兄は義妹との関係にこだわった。
たとえ妹に嫌われ、避けられる日々でも……達也にとって、優香はこの世に二人といない大切な妹だった。
そんな優香がある日、部屋に友達を連れてくる。
その出逢いが、兄妹の関係に微妙な変化をもたらすことなど気づきもせずに……。
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「いいね、仲がよくて…」 |
妹の友人、天童寺菜々子。
それは達也が初めて身近に接する、妹以外の『異性』だった。
二人の出逢いは、確実に兄と妹の日常を変えていく。
目もくらむようなスピードで、”現在”は”過去”を塗りつぶしていく。
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そして兄と妹の向かう”未来”は、
彼らがそれぞれ選んだ道の終着は……。
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「……お母さんって言っても、義理のでしょ? |
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「それなら、今のこれも……『ごっこ』なんですか?」 |
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「…お邪魔みたいだから、さよなら」 |
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「お願い、ここにいて? 優香ちゃんを追わないで…」 |
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「……しちゃいましたね。お兄ちゃん離れ」 |
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…審判の時は来た。
全てを終わらせる一言が、屋上に、そして俺の心に、
静かな余韻を残していく。
伸ばした手は、優香に届かなかった。
でも、それを悲しいとは思わなかった。
優香の真っ直ぐに伸びた背中を見て、今までの自分が
決して間違いではなかったと自惚れることができたから…。