岩崎達也(主人公)
本作の主人公(お兄ちゃん)。 幼い頃、母親の再婚で新しい父親とその連れ子である優香と出会う。
当時は意識をして父親の後ろにばかり隠れていた義理の妹・優香。 だがそんな彼女が、達也に心を許し、「お兄ちゃん」と呼ぶまでにそれほど 時間はかからなかった。
そしてまだ甘えたい盛りに両親を病気で失い、達也は優香の兄として、 親代わりとして生きていくことを誓う。
しかし一方の優香は、思春期を迎えた頃から心を閉ざし、義理の兄妹である 自分たちの関係を「他人」の一言で済ませてしまう。
いつからか、俺のことを『兄貴』と呼ぶようになった優香…… 俺はその短い三文字の響きが怖かった。
血縁のない義理の妹は、次の瞬間から俺のことを兄とは 呼んでくれなくなるかもしれない。
そして、次の瞬間から……。
両親を失い、血縁がないゆえに唯一の身内である優香との関係を必死に つなぎ止めようとする達也。
そこへ現れる、過去の妹と同じ面影を持つ少女。
過去、現在、そして未来…… 彼らが紡ぐ、「ある、兄と妹の物語」の結末は――。
…俺は怖かった。
いつか目の前にいるこの妹が、『部屋には帰らない』と 口にする日が来るんじゃないかと。
俺の元を離れて、自立をして、それっきり赤の他人に なってしまうんじゃないかと……。
優香が俺のことをどう思っているのかは分からない。
でも俺にとって優香は、この世に二人といない大切な 妹だった。
たとえ、始まりは別々の両親からだったとしても……。
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