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「猛……お前、好きな女はいないのか?」
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「…なんだよ、いきなり」
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「ただの興味本位だ。答えたくなければそれでいい」
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「…………」
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「お前ぐらいの歳なら、そういう話のひとつぐらい…」
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「…いるぜ、惚れた女ぐらい」
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「そうか……どんな女だ?」
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「オレが惚れたんだぜ? いい女に決まってる」
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「ふっ、そうだろうな…」
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「名前は優香ってんだ。 優しい香りって書いて優香。いい名前だろ?」
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「そうだ、写真を見せてやるよ。 これ見たらあんたも優香に惚れるぜ?」
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いつの間にか乗せられて、オレは得意げに優香の写真を 見せていた。
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今まで何枚もあいつの写真を撮ったが、一枚もカメラ目線の ものはない。
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優香の視界にはオレなんて映っちゃいない。
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いつもあいつが見ていたのは……。
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「…横にいるこの男は?」
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「あ…ああ、優香の兄貴だ」
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「…………」
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「よかったらその写真やるよ。オレにはもう必要ねえから…」
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「……それなら預かっておこう」
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