■雨やどり STORY■

少年には夢があった。
それは本当に小さな小さな夢物語。
自らの言葉が、全ての生き物たちに通じると思っていた時代の……。

道を歩く犬や猫たちとも、話をすることができると信じていた。
どうして、牛や豚を殺して食べてしまうのかと疑問にも思っていた。

そんな……大人を困らせるだけの夢物語。

…だが、少年は知らなかった。
言葉の通じる人間同士が、時にはいがみ合い、命を奪い合うこともある……という現実を。


ストーリー1

 それから長い年月が流れていた。
 少年は大人になり、自らが抱いていた夢や憧れを忘れて、
 今は平凡な毎日を繰り返すだけの日々…。

 故郷を離れた青年は都会の雑踏の中に身を置きながら、
 頭上に広がる灰色の天幕を眺めていた。

 「雨……か?」

 道ゆく人々は早足でベトンの迷路を彷徨い、
        青年はただ……そこに立ち止まっていた。


いつになったら、この雨は降りやむのか?

一体、いつから『この雨』は……降り始めたのか?


 移ろいゆく社会の中で、少年は多くのことを学んできた。
 生きていく上でのモラルを知り、現実を知り、そうした
 生き方に疑問を抱くこともなく…。

 …そう、少年は知らなかった。

 まだ、この時……彼女と出逢う、その瞬間まで──。


 物語は、ある雨の日の夜から始まります。
 そしてまた歩き始める、あなたのために……。

ストーリー2


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